三木証券、高齢者から不当に手数料を徴収

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日本の高齢者人口は、現在と未来ともに世界で最も高い水準にあると言えます。現在の日本の高齢者人口は、令和3年10月1日の調査では、1億2,550万人の総人口のうち、3,621万人が65歳以上で、総人口に占める割合(高齢化率)は28.9%です。これは、世界の国々の中で最も高い高齢化率です。65歳以上人口のうち、65~74歳人口は1,754万人(14.0%)、75歳以上人口は1,867万人(14.9%)で、75歳以上人口が65~74歳人口を上回っています。そんな高齢者を狙った悪徳事業者も増えてきております。今回は、最近ニュースでも話題の三木証券の事件について紹介いたします。



認知能力の衰えた高齢者に外国株の取引を行わせる

東京・中央区日本橋に本店を構える三木証券が、80歳~90歳代の高齢者に対して不適切な営業を行っていたことが明らかになった。証券取引等監視委員会は9月15日、同社に対して行政処分を勧告し、金融庁は業務改善命令などの処分を検討している。
監視委によると、三木証券は2020年4月以降、認知能力の衰えた高齢者18人に、リスクを十分に理解させることなくアメリカのIT銘柄など外国株の取引を行わせていた。ある顧客は8カ月で33回の売り買いをしており、支払った手数料は最も多い人で1460万円程度にも上った。ほかにも、新興国のテクノロジー関連企業に投資する投資信託の勧誘でも不適切な取り扱いがあったという。
このような営業活動は、金融商品取引法で定められた「適合性の原則」に反しており、投資者の保護に欠けるおそれがある。適合性の原則とは、顧客の知識や経験に照らして不適切な勧誘を行わないという原則である。監視委はこの原則違反での勧告は今年6月のちばぎん証券に続くものだと指摘した。

経営陣による極端な収益至上主義への転換

三木証券が無理な営業を行った背景には、「経営陣による極端な収益至上主義への転換」があったと監視委は分析する。同社は2016年度から4期連続の営業赤字に陥っており、経営改善が喫緊の課題だった。そこで2020年4月以降、主にアメリカ株への販売に注力し、2020年度に営業黒字化を果たした。
しかし、この黒字はコンプライアンスを軽視したことにより実現したものだった。同社は2019年6月に営業員評価制度を見直し、手数料収入実績を評価に直接反映するようにした。2022年1月には法令違反行為などを行った営業員の評価を下げる仕組みを撤廃した。これらの制度変更は手数料収入に偏った不適切な営業を助長するものだった。
また、同社は自主規制機関である日本証券業協会(日証協)からコンプライアンス部門の人員不足を指摘されていたが、それでも社長自らが主導してコンプライアンス部門の担当社員を削減した。2018年9月に14人いた監査部の社員が2022年9月には6人になっており、顧客への説明や確認事項の承認手続きは形骸化していたという。

今後の対応と影響

三木証券は、監視委の勧告を受けて「厳粛に受け止め、深く反省し、根本的な原因分析とその改善を図り、再発防止に努めてまいります」とのコメントを発表した。ただ、具体的な対応は金融庁からの処分を待ってから行う予定だという。
三木証券のような中小証券会社は、顧客層の高齢化や契約口座数の減少などで厳しい経営環境に直面している。しかし、過度に手数料収益を追う施策は、顧客からの信頼を失うだけでなく、法令違反や行政処分というリスクを招く。道を誤った中小証券会社の更生はあまりにも困難だ。

まとめ

今回は認知能力が衰えた高齢者をターゲットにする三木証券を紹介いたしました。

未来の日本の高齢者人口は、さらに増加すると推計されています。令和5年推計によると、令和52年(2070)には、総人口が8,700万人に減少する一方で、65歳以上人口は3,360万人(38.7%)、75歳以上人口は2,230万人(25.6%)になると見込まれています。これは、世界でも類を見ない高齢化の進行です。

以上のことから、今の日本は、経済的にも大変苦しい状況にある為、今後、こういった高齢者を狙った犯罪は増えてくると考えます。



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