【2023年度介護報酬改定】訪問介護のサービス提供責任者は介護福祉士に限定すべきか?

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2023年度の介護報酬改定に向けて、訪問介護のサービス提供責任者(以下、サ責)の資格要件について議論が起こっている。現在、サ責の資格要件は、実務者研修を修了した人や旧ホームヘルパー1級の人などが含まれているが、一部からは、国家資格である介護福祉士に限定するよう求める声があがっている。この記事では、その背景やメリット・デメリットについて考察する。



サ責の資格要件の厳格化の背景


サ責とは、訪問介護事業所で、ケアプランに基づく訪問介護計画の策定や見直し、サービス提供のマネジメントや評価、関係機関との連携や調整、人材の育成や定着支援などを行う人のことである。サ責は訪問介護事業の中核的な役割を担い、サービスの質の担保や向上に大きく影響する。

しかし、訪問介護事業所は極めて深刻な人手不足に直面しており、サ責も不足している現状がある。また、訪問介護の業務は高齢者の多様化や複雑化するニーズに応えるために、ますます複雑化・高度化している。そのため、サ責に求められる知識やスキルも高まっている。

このような状況を踏まえて、2018年度の介護報酬改定では、サ責の資格要件を一部厳格化した。具体的には、「初任者研修」を修了した人や旧ホームヘルパー2級の人などを除外し、段階的に介護福祉士へ移行していく方針を示した。これは、サービスの質を高めるためだけでなく、その中核的な役割を担う介護福祉士に自覚と責任を促す意味もあった。
しかし、その後もサ責不足は解消されず、実務者研修を修了した人や旧ホームヘルパー1級の人なども引き続きサ責として活躍している。一方で、2023年度の介護報酬改定に向けた協議では、さらなる厳格化を求める声があがっている。全国社会福祉協議会の全国ホームヘルパー協議会や日本介護福祉士会などからは、「2018年度からかなりの年月が経過した。次回で介護福祉士一本に限定する対応を」という要望が審議会に寄せられた。

サ責の資格要件を介護福祉士に限定するメリット・デメリット


サ責の資格要件を介護福祉士に限定することには、以下のようなメリットとデメリットが考えられる。

メリット



介護福祉士は、介護の専門的な知識や技術を有し、国家試験に合格した国家資格者である。そのため、訪問介護の業務に必要な高度な判断力や調整力、指導力などを発揮できると期待される。
介護福祉士は、他の介護職員や関係機関との連携や調整においても、専門性や信頼性が高いと認められやすい。そのため、チームワークやネットワークの構築にも貢献できると考えられる。
介護福祉士は、自身の役割や責任を自覚し、常に自己研鑽やスキルアップを行う姿勢を持っている。そのため、サービスの質の向上や改善にも積極的に取り組むことができると思われる。

デメリット


介護福祉士は、訪問介護事業所においても不足しており、人材確保が困難な状況にある。そのため、サ責の資格要件を介護福祉士に限定することで、さらにサ責不足が深刻化する恐れがある。
介護福祉士以外の人も、長年の経験や実績によってサ責として優秀な仕事をしている場合がある。そのため、サ責の資格要件を介護福祉士に限定することで、これらの人たちの能力や貢献を無視することになりかねない。
介護福祉士は、訪問介護以外の分野でも活躍できる多様な選択肢を持っている。そのため、サ責の資格要件を介護福祉士に限定するだけでは、訪問介護事業所への就職や転職のインセンティブにはならず、報酬や待遇などの改善も必要である。

まとめ


2023年度の介護報酬改定に向けて、訪問介護のサ責の資格要件について厳格化するかどうかが注目されている。一部からは、国家資格である介護福祉士に限定するよう求める声があがっているが、それにはメリットとデメリットがある。サ責不足を解消し、訪問介護事業所で働く人たちのモチベーションや満足度を高めるためには、資格要件だけでなく、報酬や待遇などの環境整備も重要である。



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