訪問美容師とは、高齢や病気・障がいなどで美容室に行けない人に対して、自宅や施設などに出向いて美容の施術を行う専門職です。訪問美容師は、美容師免許を持っていれば誰でもなることができますが、介護や福祉の知識や資格もあると便利です。
訪問美容師になるには？
訪問美容師になるためには、以下の手順が必要です。
①美容師免許を取得する。
これは訪問美容師になるための唯一の必須資格です。
②福祉関連の資格や講習を受ける。
これは必須ではありませんが、訪問美容師として高齢者や障がい者などのお客様に安全かつ適切なサービスを提供するために役立ちます。
例えば、介護職員初任者研修課程修了資格や訪問福祉理美容師認定資格などがあります。
③独立開業するか、企業に所属するかを決める。
独立開業する場合は、税務署に開業届を提出し、必要に応じて保健所に申請を行います。企業に所属する場合は、訪問美容サービスを提供している企業に応募し、採用されれば働くことができます。また、フランチャイズ契約を結ぶ方法もあります。
④自分で営業や集客を行う。
独立開業した場合は、自分でお客様を探す必要があります。WebサイトやSNSを活用したり、ポスティングやチラシ配りをしたり、地域包括支援センターや介護施設に営業に行ったりすることが考えられます。企業に所属した場合でも、自分で営業することが求められる場合があります。
⑥施術や料金のトラブルに備える。
訪問美容師は、お客様の自宅や施設などで施術を行うため、施術中や料金の支払い時にトラブルが発生する可能性があります。
例えば、お客様が施術を拒否したり、料金を払わなかったり、髪の毛を切られたことを忘れて文句を言ったりすることがあります。そのような場合に対処するためには、領収書や契約書などの書類を用意したり、ご家族や付き添いの方と連絡先を交換したり、事前に料金や施術内容を確認したりすることが大切です。
訪問美容師の需要が高まっている背景
訪問美容師の需要が高まっている背景には、以下のような要因があります。
①高齢化社会の進展。
日本は高齢化が進んでおり、2065年には国民の約2.6人に1人が65歳以上になると予測されています。高齢者は外見や身体的なケアに対しても意識があり、美容サービスの需要が存在しています。しかし、自宅や介護施設での美容サービスの利用が困難な方も多くいます。そのため、訪問美容サービスが重要な役割を果たし、需要が高まっています。
②介護福祉サービスの充実。
社会の高齢化に伴い介護や福祉に関する仕事の需要は高まっており、介護福祉サービスも充実してきています。介護保険の訪問介護サービスでは、「身体整容」として髪の手入れなどを行うことができます。訪問介護員の資格を持つ理容師や美容師は、「身体整容」の範囲内で理容や美容を行うことができます。
厚生労働省による衛生管理要領の通知
厚生労働省による衛生管理要領の通知。理美容サービスは原則として理美容所で行われるべきものですが、事情があって理美容所に来ることのできない方や婚礼などの儀式に参列する方などに対する例外が認められています。
厚生労働省は2009年に訪問理容・訪問美容に関する衛生管理要領を通知し、訪問サービスを行う際の基準や届出などを明確化しました。これにより、訪問美容師として働く際のルールや安全性が確保されました。
訪問美容師の需要は高齢化社会や介護福祉サービスの充実、衛生管理要領の通知などによって高まっています。
まとめ
以上が訪問美容師になるための手順です。訪問美容師は社会貢献度の高い仕事ですが、一般的な美容師と比べて特殊な知識やスキルが必要です。興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。
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