高齢者が入居する施設の総称として「老人ホーム」という言葉がよく使われますが、実は老人ホームにもさまざまな種類があります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、自分や家族のニーズに合わせて適切な施設を選ぶことが大切です。今回は、老人ホームの種類や選び方、費用などについてわかりやすく解説します。
老人ホームの種類
老人ホームは、大きく分けて公的施設と民間施設に分かれます。
公的施設は国や自治体が運営する施設で、介護度合いが高い人や低所得者の支援が目的です。民間施設は民間企業が運営する施設で、高齢者のさまざまなニーズに応えるサービスが展開されています。それぞれの施設の特徴を見ていきましょう。
公的施設について
公的施設には以下の5種類があります。
①特別養護老人ホーム(特養):要介護3以上の高齢者を対象に、日常的な介護と生活援助を提供する施設。費用は安く、終身利用ができる。
②介護老人保健施設(老健):退院後にリハビリを必要とする高齢者を対象に、介護と医療ケアを提供する施設。費用は安いが、原則3カ月以内で自宅復帰を目指す。
③介護医療院:高度な医療ケアが必要な高齢者を対象に、介護と医療処置を長期的に提供する施設。費用は高めだが、終身利用ができる。
④ケアハウス:自立から要支援・要介護の高齢者を対象に、食事や掃除などの生活支援サービスを提供する施設。費用は中程度で、一般型と介護型がある。
⑤養護老人ホーム:自立した高齢者を対象に、食事や健康管理などの生活支援サービスを提供する施設。費用は安く、終身利用ができる。
公的施設のメリット・デメリット
公的施設のメリットは、費用負担が軽いことや終身利用ができることです。デメリットは、入居条件が厳しいことや待ち時間が長いことです。
民間施設について
民間施設には以下の6種類があります。
介護付有料老人ホーム:自立から要介護の高齢者を対象に、食事や介護などのサービスを提供する施設。費用は高めだが、サービスや設備が充実している。
①住宅型有料老人ホーム:自立から要介護の高齢者を対象に、食事や家事などの生活支援サービスを提供する施設。費用は中程度で、介護が必要になったら外部のサービスを利用する。
②健康型有料老人ホーム:自立した高齢者を対象に、食事や健康管理などの生活支援サービスを提供する施設。費用は高めだが、温泉やスポーツジムなどの設備がある。
③グループホーム:要支援2以上で認知症の高齢者を対象に、5~9人のグループで共同生活を送る施設。費用は安く、地域密着型である。
④サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):自立から要介護の高齢者を対象に、食事や介護などのサービスをオプションで提供する施設。費用は低めだが、サービスは限定的である。
⑤シニア向け分譲マンション:自立した高齢者を対象に、バリアフリーや防犯などの設備を備えたマンション。費用は高めだが、自由度が高い。
民間施設のメリット・デメリット
民間施設のメリットは、ニーズに応じた多様なサービスや設備が選べることです。デメリットは、費用負担が重いことや入居金や退去時の清算金がかかることです。
老人ホームの選び方
老人ホームを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
自分や家族の介護度合いや健康状態を把握する
費用や入居条件などの基本情報を比較する
サービスや設備、スタッフなどの質や充実度を確認する
立地や交通アクセス、周辺環境なども考慮する
口コミや評判なども参考にする
実際に見学や体験入居をして雰囲気や相性を確かめる
老人ホームは長期的に暮らす場所ですから、慎重に選ぶことが大切です。自分や家族の希望やニーズに合った施設を探すためにも、情報収集や相談などを積極的に行いましょう。
老人ホームの費用
老人ホームの費用は、施設の種類やサービス内容、立地などによって大きく異なりますが、一般的には以下の2種類の費用がかかります。
入居一時金:施設に入居する際に一括で支払う金額です。民間施設では数百万円から数千万円程度かかることが多いですが、公的施設では0円の場合もあります。
月額利用料:施設で暮らすために毎月支払う金額です。家賃や食費、介護サービス費などが含まれます。全国平均では約15.5万円程度ですが、施設によっては30万円以上かかる場合もあります。
老人ホームの費用相場を知るためには、自分や家族の介護度や健康状態、希望する施設のタイプやエリアなどを考慮する必要があります。また、費用を抑えるためには、介護保険や各種補助制度を利用することも重要です。
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